EFRは「命の授業」

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命の重さ:

 偶然にもパパラギ新宿店前に遺棄されたバラバラ死体の記憶も新しいまま、新しい年が明けてからも日本のいたるところで、ほぼ毎日の様に殺人事件が発生しています。
また、相変わらずイラクでは、米軍による掃討作戦に抵抗する武装勢力による攻撃や爆弾テロなどによる大量殺人が後を絶ちません。
段々と人の命の価値が薄くなり、人が人の命を奪う行為とその報道にも慣れっこになってしまう風潮に、心を痛めざるを得ません。
どうして、こんなにも悲惨でおぞましい事件が続くのでしょうか?
また、残酷で、凶悪な犯罪に限らず、「いじめ」の様な日常的な問題も含め、何故こんなにも「人の心を失った」様な事が多くなったのでしょうか?
原因は決して単純ではないでしょうし、一つや二つの現象を見てそれらを語る事も愚かな事かも知れません。
しかし、私達は私達なりに考えてみるべき事があるのではないか?と思うのです。

自然に接する事は命を感じる事:

90年代、子供による凶悪犯罪が多発し始めた頃、世間のこれらの犯罪の防止策として筆頭に挙げられたのは、青少年法の改正論や、成人並みの刑罰、極刑論。そして、それらに便乗してマスコミが先頭となって青少年の非行事件に対する氏名、写真の公開等の狂った大人達の暴論騒ぎが続きました。
私はこれらの騒ぎは親が子供を殺すという「子殺し」と何ら変わりはないと思うのです。
「子供が変わった」と馬鹿な事を言う大人がいますが、子供が変わったのではなく、大人が変わったという事に彼らは気がつきません。
子供が起こす非行は全て親、そしてそれを取り巻く社会環境に大きな原因があるというのは火を見るより明らかな事です。

 こう言った暴論がうずまき、人々が真に正す道を失っている中、幾人かの良識者や身近な教育者、先生方と接していて得た事も少なくありませんし、様々なヒントを頂いたこともありました。
そんな中、故 灰谷健次郎が常々言っていた言葉を忘れる事が出来ません。
それは、「戦後の日本の教育の過ちの中で、自然と触れさせる機会を奪ってしまった事が、一番大きい。」
「成長期において、自然の中で触れる直接的、間接的な命のリアリティーが人を形成して行く上で最も大切な事であるのに」という言葉でした。

 海というフィールドで仕事をする私達にとって、とても勇気づけられる言葉でもあり、私自身、こういった事がNPOパパラギ“海と自然の教室”の活動を始めるきっかけになった事は言うまではありません。
“海と自然の教室”は決して子供のためだけの活動ではありません。むしろ、大人の為の体験型啓蒙活動でもあるのです。

 「子供の凶悪犯罪」が多発し始めたと言われた頃から数年が経ち、そして今年の事件のほとんどが、大人が犯す残酷な犯罪であるという事は、何をもの語っているのでしょう?
本当は"子供への教育"という前に、"大人の教育"が必要なのかも知れません。

新しい救急蘇生法! 05年ガイドライン:

 医療に関わっていない人には、なかなか馴染みづらいという現実が、壁になっていた『救急蘇生法』や『応急手当』が、2006年のガイドラインでは、少しでも多くの人にわかり易く、普及させやすい内容に改訂され、且つ、より蘇生率において良い効果が期待できるものになった事は実に画期的と言えます。

  また、2000年ガイドラインが、05年の改訂までの5年間で、かなり大きな変化があった事にも注目すべきと思います。
思えば、AEDによる除細動行為が、医事法という"制約"からの解放が超党派による"議員立法"によって、かつてないスピードで成立した事は革命的ではあったけれど、設置され始めたAEDが何となく、浮いた存在に見え"バリア装着"というのが最優先手順として強調され、尚且つ、人工呼吸や手技の正確さが絶対的に存在する事に漠然とした疑問を抱いていたのは、決して私だけではないように思うのです。(もちろんこれは、2000年ガイドラインが、"間違っていた"という事ではありません。)

 今回の改訂で、「やらないより やった方が良い!」という事が、更に一歩具体的になり、人の良心が行動となって表れる瞬間が、より現実的になったと言っても過言ではないと思います。
特に他人に対しての行為において、どうしても躊躇してしまう人工呼吸は、「もしやりたくなければ、やらなくても良い」という点も重要ですし、もともと簡易なバリアシールでは感染防止において限界があります。
また、もしかして次回、2010年のガイドラインによる改訂では、人工呼吸そのものがなくなる可能性さえある様です。

命の授業:

 救急法の様な、一見現実的ではあるけれど、自分の身の回りに起きている訳ではない事に関しては、想像力を持ち、よりリアリティーを感じる様な内容で、取り組む必要があると思います。
それは、どれだけマルチな感性や、情報、そして想像力を持って挑むか?という事に、かかっています。

 ほんの5分~6分の間に、人の一生を左右するほどの事を施す事が出来るかも知れない。
これほど現実味のある具体的な行動は、他にありません。
そんな素晴らしく人間的で具体的な体験に、自覚と高い意識を持って取り組めば、それは、きっと素晴らしい講習になり、人から人へと伝わり、多くの人々が興味を持ってくれるはずです。

 

何故なら、EFRコースは、人にとって最も関心がある"命"がテーマであり、
その尊さを実感し共有する、 体験型「命の授業」でもあるからです。

 

武本 匡弘

小学5年生の時、「海洋少年団」の実習訓練で救急蘇生法を体験し、その後ライフガード経験等を通し、現在に至る。 救急蘇生法手順を基本にした学校授業プログラム「命の授業」は、延べ30ヶ所以上の保育園~小・中・高校での実績がある。 また、海上保安官だった父は、現役時代から40年以上に渡り、日本赤十字水難救助指導に携わり、そのボランティア精神の影響を大きく受けた(本人 談)


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